焼酎は二日酔いになりにくいってホント!?翌日に残さないお酒と飲み方をご紹介!
2016/03/05
「音楽仕込み」を行っている田苑酒造では、一次仕込みの際にも音楽の信号を振動に変換し焼酎に伝える、トランスデューサ―と呼ばれる特殊な変換器で、もろみの発酵を促進させてお酒造りを行っています。
蔵で流している楽曲のうち、今回はヴィヴァルディの作品の中でも最も有名な、ヴァイオリン協奏曲「四季」より「春」 をご紹介します。
アントニオ・ヴィヴァルディ(1678-1741)は、バロック時代の後期に活躍したイタリアの作曲家・ヴァイオリニストです。彼は協奏曲やオペラ、宗教音楽など多岐にわたるジャンルで創作し、筆も速いことから多作家として名を馳せていました。
そんなヴィヴァルディが作曲した ヴァイオリン協奏曲「四季」は、1725年に出版された「和声と創意への試み」という12曲からなるヴァイオリン協奏曲集の第1番から第4番を指しますが、この「四季」というタイトルはヴィヴァルディ自身が付けたものではないと言われています。
第1曲の「春」、第2曲の「夏」、第3曲の「秋」、第4曲の「冬」のどれもが3つの楽章で急-緩-急を構成していて、それぞれの楽章には作者不明ではあるもののソネット(定型詩)が添えられています。また、彼がこの「四季」において、それまでとは違ったメロディーや強弱の新しい表現方法を追い求めていたことも見てとれます。
「春」と聞いて皆さんは何を思い浮かべますか?
芽吹きの季節ということもあり、明るく前向きな印象を持つ方も多いでしょう。
ヴィヴァルディが作曲した「春」も、晴れ渡った青い空を想像させる気持ちの良い楽曲です。また、ホ長調という混じり気のないクリアな個性を孕んだ調性で書かれているため、ヴィヴァルディの「春」は私たちが抱く”春”のイメージをより膨らませてくれるように思います。
第1楽章は、「春がやってきた、小鳥は喜び囀りながら祝っている…」と始まるソネットが付けられていて、普段からよく耳にすることができる軽快で楽しげなメロディーを冒頭に、「小鳥の歌」のソロが現れます。ソロと第一、第二の3本のヴァイオリンで「小鳥のさえずり」を模倣したあと、全員で「泉の流れ」を経て、春の訪れを告げる「雷鳴」を意味する合奏と「稲妻」を表すソロのかけ合いになります。しばらくすると空を覆う黒い雲と共に嵐は去り、再び小鳥たちは高らかに歌いだします。
第2楽章にはチェロとオルガンが登場せず、ソロヴァイオリン、第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、ヴィオラの4本で成り立っています。
「牧草地の生い茂った葉や咲き乱れた花々」が、そよ風によって絶え間なく揺れ動く様を描いた第一、第二ヴァイオリンを背景に、ソロヴァイオリンが眠る「羊飼い」を、ヴィオラがその羊飼いのそばにいる「猟犬」を描写しています。
第3楽章は、ヨーロッパの民族的な吹奏楽器である「バグパイプ」に合わせて、踊りと歌を好む妖精「ニンフ」と「羊飼い」が麗らかな春の空の下でダンスをする情景が表現されています。
余談ですが、この第1曲「春」は、現在使用されている譜面とは第二ヴァイオリンのパートが異なるものがオランダのアムステルダムで見つかっています。しかしその譜面は、本来主役であるヴァイオリンのソロパートと第一ヴァイオリンのパートの難易度に差がほとんどないのと、それぞれのパートの音域に配慮がないせいで絡み合いがぞんざいになってしまっているのです。
この譜面が発見されたことで「春」のオリジナルは、第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、オルガンの五重奏であったのではと指摘されていますが、そのオリジナルは今でも見つかっていません。
ヴィヴァルディ自身がヴァイオリニストであったこともあり、彼の作品はいずれもヴァイオリンへのこだわりを強く感じられます。
ヴァイオリンは、音の倍音成分をかなり高いところまで出せる楽器、つまり高い周波数まで倍音を生むことができる楽器です。その倍音は私たち人間が聴きとれない音域まで及ぶこともあり、他の楽器に比べて出せる周波数の幅が広いのです。これは、お酒にとっても大きな影響となり、味の深さや濃さに反映されそうです。
あらゆる表情を持つことのできるヴァイオリンに、「春」という個性を持たせたヴィヴァルディ。明朗で柔らかな曲調の中には、彼のヴァイオリンに対する期待もあるように思えます。
そんなヴィヴァルディ作曲「四季」の「春」を聴いて育った田苑酒造の焼酎は、軽い口当たりながらも上品ですっきりした風味をまとっているはずです。
私たちが「春」を待ち焦がれたり、わくわくさせられたりするように、「春」をひとつの成分として造られた田苑焼酎も、私たちの心を弾ませてくれる効果を持っているのではないでしょうか。