焼酎が初心者の方にもおすすめ! 焼酎がまろやかになる「前割り」とは?
2017/07/26
前編では、晩酌の基本として揃えたいのは[グラス+酒肴皿(小皿か小鉢)+箸]の3点であり、その選び方をうつわと工藝の店「コハルアン」店主のはるやまひろたかさんの解説により丁寧にお伝えした。そして、後編となる今回は実践編として、『田苑 エンヴェレシーダ』に合う料理とともに、「ひとり呑み」「ハレの日」「おもてなし」の3つのシーン別に、はるやまさんがセレクトしたうつわでコーディネート。それぞれのシーンで押さえるべきポイントや、“映えるテクニック”なども惜しみなく教えていただいた。
ひとり呑みに求めるのは、落ち着いた時間の流れ。天然木の欠けた形をそのまま活かした「欠け盆」にアースカラーの皿とグラスを並べてみると、どっしりと腰を落ち着けて酒を味わいたくなる。
「うつわを選ぶ際にテーマを決めておくと、お盆の上に世界観が出来上がります。今回、こちらのひとり呑みでは、自然界に存在する色、アースカラーをテーマに選びました。土と木の茶系の色をベースに、植物の緑、海の青などを組み合わせると、色も形も異なるうつわたちが一つにまとまります」
青はうつわ入門者にもおすすめのカラーだという。
「青は料理の映える色です。釉薬の風合いが味わい深い陶磁器、手書きの柄で楽しませてくれる染付など、青のバリエーションは豊富にあるので、『あ、これ』という直感や出会いを大切にして、少しずつ揃えていかれるといいと思います」
卒入学など家族の祝い事だけではなく、「今日は仕事がうまくいった」など自分にしかわからない小さな祝い事でも、うつわをハレの日仕様にととのえるだけで気分はさらに上向く。
「漆の塗り盆は黒だと落ち着いた雰囲気ですが、朱色のものを選ぶとよりフォーマルな印象になります。
今回、小皿はハレの日にふさわしい、赤や金が華やかなアンティークの絵付け皿を選びました。アンティークなのできらびやかな派手さではなく、使い込んで擦れた絵柄さえもが味となった渋い派手さを備えています。大々的に祝う席でなければ、このくらいの塩梅が落ち着けてちょうどいいのではないでしょうか」
小鉢には、花びらをかたどった花小鉢をセレクト。
「菊や梅などの花を模したうつわが1点加わるだけで華やぎが生まれ、場がグッと明るくなります。可憐な見た目で人気の高い形状ですが、これが何種類も並ぶとおしゃれな雰囲気からは遠ざかってしまいます。いくつかあるうつわの中に、ひとつ混ぜるくらいが品があって素敵です」
人数が増えても、盆やマットなどを使って一人ひとりのスペースをつくる、という考え方は同じ。
「脚付のグラスはゴージャス感があり、おもてなしに最適です。脚付だからワインにしなきゃということでは決してなく、エンヴェレシーダのソーダ割などはグラスの雰囲気にもぴったりです。
グラスに合わせ、全体を洋風にまとめることをテーマにしたので、取り皿も洋風に、お盆ではなく色違いのランチョンマットで二人分のスペースを作りました。このランチョンマットは、実は、フィンランドのサウナ用タオルに使われる素材を日本のデザイナーがランチョンマットにしたもの。そんな背景があると、おもてなしの場でも会話の糸口となって楽しいですよね」
おもてなしの場ということもあり、今回は一人ずつのセッティングのほかにサラダも用意。
「サラダボウルに使っているのは片口の酒器ですが、うつわをどのように使うかはその人の自由。テーブルの上にガラスのうつわが加わると透明感と高級感が生まれます。ガラス素材は夏向きという決まり事もありませんので、キラキラとした輝きを足したいときにはどんどん活用してください」
うつわをととのえるだけで、いつもの日常が特別な時間に変わるから。ここで紹介したアイデアをベースにして、好きなうつわで自分らしい空間を演出してみてほしい。
コハルアン店主。三越恵比寿店「暮らしの和」フロア勤務を経て独立し、神楽坂にうつわと工藝の店をオープン。日本各地を旅してセレクトしたうつわを扱っている。著書に『季節やシーンを楽しむ 日々のうつわ使い』(翔泳社)がある。WEB媒体「チルチンびと広場」にてコラムを執筆中。
コハルアン 住所:東京都新宿区矢来町68 アーバンステージ矢来101 営業時間:12:00〜18:00(日・祝17:00まで) 休日:月〜水曜 https://www.room-j.jp