芋焼酎のラベルに入ってるマークと”SATSUMA SHOCHU”はどんな意味？

2024/02/26

当社の芋焼酎製品の『田苑芋』や『田苑芋黒ラベル』のラベルを見てみると、右端にはこんなマークが入っています。

何やら不思議な形のマークと”SATSUMA SHOCHU”の英字。

こちらは「地理的表示（GI）」といわれるもので、日本だけでなく海外でも広く導入されており、その生産地ならではの特性を持つ産品を国が地域共有の知的財産として保護するための制度です。ちなみに「GI」とは”Geographical（地理的）”” Indication（表示）”の頭文字からとられています。
ある商品に関し、不正な産地名の使用を防いで、製造者と消費者の利益を確保するためにWTO（世界貿易機関）が認定してきました。

世界的な酒類の地理的表示でいえば「シャンパーニュ（シャンパン）」は、スパークリングワインの中でもフランスのシャンパーニュ地方で生産された、一定の品質基準を満たしたものにしか表示が認められていません。ほかにも、ワインの「ボルドー」、ウイスキーの「スコッチ」や「バーボン」、ブランデーの「コニャック」といった世界的に知られた銘酒も地理的表示に指定されています。

それだけに、地理的表示が認定された産地のメーカーは、栄誉ある表示に恥じないお酒を造り続けるための努力をしているのです。

日本では、WTO（世界貿易機関）設立協定の附属書のひとつである「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」（TRIPS協定）を受け、1994年に国税庁が酒類についての表示基準を制定。お酒にその産地ならではの特性が確立されていることが条件で、産地からの申し立てにもとづき、国税庁長官の指定を受けることで産地名を独占的に名乗ることができます。

2023年3月現在、焼酎・泡盛などの蒸留酒では、鹿児島県の芋焼酎「薩摩」の他に、長崎県壱岐市の麦焼酎「壱岐」、熊本県人吉球磨地域の米焼酎「球磨」、沖縄県の泡盛「琉球」の４つが地理的表示として認められています。

「地理的表示薩摩」を名乗れる条件

「地理的表示薩摩」を使用するためには、次のような条件を満たしている必要があります。

１）原料

・鹿児島県（奄美市及び大島郡を除く）で収穫したさつまいものみを用いたものであること。

・麹に米または鹿児島県で収穫したさつまいもから製造されたもののみを用いたものであること。

・鹿児島県内で採水した水のみを用いたものであること。

2）製法

・鹿児島県内で原料の発酵および蒸留が行われていること。

・麹、いも類および水を原料として発酵させたもろみを、単式蒸留機によって蒸留したものであること。

・製造工程上、貯蔵する場合は鹿児島県内で行うこと。

・消費者に引き渡すことを予定した容器に鹿児島県内で詰めること。

例に挙げた『田苑芋』や『田苑芋黒ラベル』は、これらの条件をすべて満たしているため「薩摩」と表示することが許されているわけです。

薩摩マークにデザインされているものは何？

ところで「地理的表示　薩摩」で使用されているマーク（“SATSUMA SHOTUCHU”上のロゴデザイン）。なにをモチーフにしているかわかりましたか？実は鹿児島で伝統的に使われてきた燗酒用の酒器「黒ぢょか」がモチーフになっているんですよ。

平べったい陶器に、つるを巻きつけた持ち手が特徴で、これに水で前割りした芋焼酎を入れて直火で温めます。最近は手軽にお湯割りで飲むことが多くなりましたが、このマークを見ると火鉢や囲炉裏のそばで、「黒ぢょか」で温めた芋焼酎を飲むのもいいな…と思ってしまいます。

芋焼酎といえば、やはり薩摩

シラス台地が広がる鹿児島県は、サツマイモの栽培に適した土地であり、その生産量は日本一です（※）。焼酎製造に使用される原料のほとんどは黄金千貫という品種でしたが、現在は紅芋や紫芋、橙芋など使用される原料もバラエティに富んできて、そのおいしさもますます広がってきました。薩摩は、やはり芋焼酎王国なんですね。
まだ寒い日も多いこの季節、薩摩焼酎のお湯割りで温まりませんか？

※農林水産省の調査によると、令和4年の生産量は21万トンで全国1位
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sakumotu/sakkyou_kome/attach/pdf/syukaku_kansyo_23.pdf

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