芋焼酎になるサツマイモと、焼き芋になる サツマイモは何か違うの?

田苑の芋焼酎の原料となるサツマイモを生産している農園を訪ねたことがある。鹿児島県指宿市の標高924mの開聞岳がそびえる近くで、噴火によってできた火山礫の土壌がサツマイモ栽培に適しているのだと聞いた。土が粗くて水はけがいいから、サツマイモが深く根を張って、たくさんの養分を吸収するのだという。

もともと鹿児島はシラス台地が多く、水はけがよすぎて稲作に適さなかったことが、サツマイモ生産が普及した要因だ。2018年の生産量は27万8300トンで、もちろん日本一。全国合計の34.9%を占めている。ちなみに第2位は茨城県の17万3600トン、第3位は千葉県の9万9800トンである(※1)。

 

サツマイモはヒルガオ科の植物で、原産地は中南米。サツマイモというくらいだから薩摩で生まれたイモかと思いきや、中南米からヨーロッパへ渡り、中国、琉球を経て17世紀頃に伝わったものだった。だから当時の鹿児島では、サツマイモを唐芋(からいも)と呼んでいたようだ(※2)。

 

食用になる芋の部分は、根が栄養を蓄えて肥大化したもの。地面をはうように蔓を伸ばしていき、葉が出て蔓に節ができる。そこから不定根という根が出て地中にもぐり、芋ができるのである。

 

さて、農林水産省のホームページによると、2018年に国内で栽培されたサツマイモの主要品種は約60品種もあるらしい。品種別の作付けシェアは、1位/黄金千貫(コガネセンガン・21%)、2位/ベニアズマ(19%)、3位/高系14号(12%)、4位/シロユタカ(10%)、5位/ベニハルカ(10%)となっている(※3)。

このうち黄金千貫は焼酎用、ベニアズマ・高系14号・ベニハルカは生食用、シロユタカはデンプン原料用品種との説明があった。

生食用というとサラダで食べるみたいだけど、つまり加工用ではなく青果として出荷されるということ。焼き芋や蒸かし芋、天ぷら、スイートポテトなどのお菓子になる品種である。埼玉や千葉で生産されているサツマイモは、こちらの品種が多く、一方の鹿児島で生産されているサツマイモは、焼酎原料用やデンプン原料用が多い。

芋焼酎の原料として使われる品種と、その芋で造った焼酎の味わいの傾向を比べてみよう。

 

●黄金千貫
皮色:黄褐色 肉色:淡黄色
デンプン質に富み、芋焼酎に最も一般的に使われる白系サツマイモ。ふんわりとした甘い香りのまろやかな焼酎に。食用としても。

●ダイチノユメ
皮色:白色 肉色:淡黄白色
黄金千貫よりも貯蔵性に優れた、もとはデンプン用の白系サツマイモ。柑橘類のような爽やかな香りとすっきりとした甘みの味わいになる。

●ハマコマチ
皮色:淡赤色 肉色:橙色
カロテンを多量に含み、干し芋にも利用される橙系サツマイモ。ニンジンのような風味が強く感じられ、個性のある味わいに。

●ベニハルカ
皮色:赤紫色 肉色:黄白色
もとは食用として開発された品種で、外観が美しい紅系サツマイモ。甘い風味が強く感じられ、やわらかで濃醇な味わいの焼酎になる。

●ムラサキマサリ
皮色:濃赤紫色 肉色:紫色
ポリフェノールの一種アントシアニンたっぷりの紫系のサツマイモ。ヨーグルト系の風味が広がり、爽やかですっきりした味わいに。

●すいおう
皮色:黄白色 肉色:淡黄色
葉や茎もおいしく食べられる変わりダネの白系サツマイモ。ブドウのような華やかな香りと力強い芋の風味が感じられる。

紅芋や紫芋系の品種は、そもそもが食用に開発されたサツマイモで、焼き芋や蒸かし芋にしても本当においしい。かつては、黄金千貫を原料にした芋焼酎がほとんどだったのだけど、近年は蔵元がさまざまなチャレンジをしていて、サツマイモの品種による味わいの違いも楽しめるようになってきた。銘柄による飲み比べではなく、サツマイモの品種による飲み比べ、そんなことができたら、とってもオモシロイだろうなあ。

 


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<参照サイト>
(※1)農林水産省 作物統計(2018年度)

(※2)独立行政法人 農畜産業振興機構(さつまいもについて)

(※3)農林水産省 消費者の部屋(こどもそうだん)

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