「餃子専用焼酎」が呑める店。中野餃子「やまよし」を訪ねて。
2024/06/20
日本の代表的なお酒である焼酎と日本酒。それぞれ似ているようで、風味も飲み方も度数も違いますよね。それらの違いは製法や原料によってあらわれるもの。ふたつの違い、特に”度数を理解して大人な飲み方”をしてみませんか?
焼酎と日本酒を飲み比べてみると、焼酎の方が喉にピリッと刺激がくるのを感じられると思います。それは焼酎の方が日本酒より10度近くアルコール度数が高いから。それではお酒の度数はどうやって決められるのでしょうか?
まず、焼酎の度数は酒税法という法律によって範囲が定められています。連続式蒸留酒(甲類と呼ばれるもの)はアルコール度数36度未満、単式蒸留焼酎(乙類、本格焼酎と呼ばれるもの)はアルコール度数が45度以下。下限は定められていませんが、アルコール度数25度前後の焼酎が多いです。
それに対して日本酒はアルコール度数15度くらいのものが多く、酒税法でも日本酒と認められるお酒は22度未満と決まっています。この度数の決まり、もちろん適当に付けたわけではありません。焼酎の方が高い度数になるのは、製法の違いが関係しているのです。
お酒は大きく分けると醸造酒と蒸留酒に分けることができ、日本酒は醸造酒、焼酎は蒸留酒に分類されます。それではそれぞれの作り方を比べてみましょう!
醸造酒である日本酒は、米に麹菌を付けて作った麹(こうじ)に酵母、水、主原料となる蒸した米を混ぜて作ります。蒸し米のデンプンが麹の作用によってブドウ糖に変わり、そのブドウ糖を酵母が分解してアルコールを発生させます。
酵母はブドウ糖を食べてアルコールをつくりだしますが、アルコール度数が20度ほどになると死滅してしまうんです。それが日本酒のアルコール度数が20度前後になる理由。ちゃんと理由があって度数が決められているんですね。
日本酒は出荷の前に割り水と呼ばれる行程があり、蔵元独自の配分で水を足してアルコール度数が14〜16度程度になるように調整します。割り水をしないで出荷するものを原酒と呼び、アルコール度数20度くらいの強めの日本酒です。
焼酎は日本酒と途中までほぼ同じ行程でつくるのですが、違うのは発酵が終わったあとから。焼酎は、発酵してできたお酒を蒸留器にかけて蒸留するのが最大の特徴です。蒸留とはお酒を熱して水や不純物より先にアルコール分を蒸発させて冷却することで、アルコール分を優先的に液体に戻す仕組みのこと。その結果、水や不純物が少なくアルコール純度が高いお酒ができあがるんですね。
日本酒は出荷直前、蔵元のこだわりの比率で水を仕込んでいます。そのため、日本酒は水やお湯で薄めず、そのままの状態で冷やすか温めて飲むのがおすすめです。
一方焼酎、特に本格焼酎と呼ばれる乙類の焼酎は蒸留後に水を足していないのでアルコール度数が高い状態になっています。焼酎は、そのままの濃さで焼酎そのものの味を楽しむのもよし、お湯割りで香りを立たせて飲むのもよし、夏に水割りでぐぐっと飲むのもよし!
また、焼酎には千代香(チョカ・ジョカ)というヤカンのような酒器で水となじませた焼酎を温めて飲む伝統的な飲み方もあります。水と焼酎を混ぜて1日寝かしたものを、対流の起きやすい千代香で温めることで、お湯割りとも味わいが微妙に違う、まろやかな口当たりの燗酒になります。
焼酎は自分の好みや銘柄の特徴によって飲み方を変えて楽しむもの。ぜひ色々な飲み方で味の変化を感じてみてください!
蒸留酒に分類されるものは、焼酎の他にウイスキーやウォッカ、ジンなどアルコール度数強めのお酒。醸造酒は日本酒、ワイン、ビールなどです。蒸留酒と醸造酒はそれぞれの製法の違いから、肥満の原因になる成分(糖分やプリン体など)の量が違います。
蒸留酒である焼酎は蒸留によって水分と一緒に糖分やプリン体もカットされるため、日本酒などの醸造酒に比べてヘルシーなお酒です。また、二日酔いの原因となる、アセトン、タンニン、フーゼル油などの成分も蒸留時に排除してくれます。これが「焼酎は次の日に残らない!」と言われる理由。
焼酎と同じ蒸留酒であるウイスキーも同様に低カロリーですが、味は大きく違います。焼酎はタンク貯蔵、ウイスキーは樽で寝かすのが一般的であるため、焼酎はクリアな味、樽からタンニンが溶け出るウイスキーは甘く濃厚な口当たり。焼酎では発芽した穀類は使わないのに対し、ウイスキーは麦芽を使用しているのも大きな違いです。
お酒は製法、原材料、貯蔵方法などさまざまな要因によって味が変わるので、製法の違い以外でもまだまだ探求できそうですね。
醸造酒と蒸留酒の違いを理解するだけでもお酒の楽しみが広がります。作り手の想いを感じて飲んでみるのも粋。製法によってお酒の特長も違うので、飲み比べて研究してみましょう。