グラスを変えたら、OTOYOI(おとよい)は乾杯も食事もデザートも楽しめる焼酎になった! 【OTOYOI×ツヴィーゼル編】
2018/08/02
今では身近なお酒になった「焼酎」ですが、どんな道具で造られているかご存知ですか?日本の焼酎造りは、江戸時代に薩摩藩が製法を体系化してから、実に300年以上歴史をかさねています。普段は、焼酎の影に隠れスポットライトが当たりにくいですが、実は、時のふるいにかけられた、美味しさを醸し出す道具がたくさんあるんです。またいろいろな過程で、音楽が焼酎を美味しくする道具として使われていることも!この記事では、焼酎造りの工程とともに、そこで使われる道具を紹介していきます。
1.さらっとおさらい!焼酎造りの流れ
2.麹は、ブンジやカキイタでかき混ぜる!
3.もろみ造りは温度調節が肝!専用の容器を使う
4.ステンレスや木の蒸留器で、アルコールを抽出する!
5.熟成する容器で、仕上がりが変わる
6.番外編!音楽も焼酎造りに欠かせない!?
7.まとめ
焼酎は、麹造り、もろみ造り、蒸留、熟成の大きく4工程を経て造られています。まず、米に種麹を植え付け、麹を造ります。次は、発酵。麹に酵母と水を加え一度発酵させた後(一次仕込)、そこに、主原料となる米や、麦、芋を加えて再度発酵させます(二次仕込)。そこでできたもろみと呼ばれるもの(焼酎のもと)を、蒸留して、最後に少し熟成させて雑味をとって完成です。
米を洗い、蒸した後に種麹を植え付けていきます。一度混ざったものを約15時間後に分司(ブンジ)と呼ばれるオールのような道具で混ぜ合わせていきます。切り返しと呼ばれる作業で、麹菌が満遍なく行き渡るようにします。その後、床と呼ばれる箱のようなものにのせて、掻板(カキイタ)という道具を使って米を均一にならしたり、集めたりを繰り返します。
麹菌はカビの一種で、蒸した米の上で繁殖していき、その具合で味わいが変化していきます。種麹を植えてから40時間ほどの短時間で何度もかき混ぜる作業が欠かせません。
次に、米麹に水と酵母を加えて発酵させます。これが一次もろみで、酒母とも呼ばれているものです。酵母がうまく糖分を分解してアルコールにしていくために、ここでも櫂棒(カイボウ)と呼ばれる竹の柄に板をつけたものでかき混ぜていきます。約1週間の発酵ののち、これを蒸した主原料と混ぜ合わせ、再び発酵させます。ここでも、温度調節が肝になってきます。伝統的な手法では、暖気樽(ダキダル)と呼ばれるその名の通りお湯を入れて温度を上げる道具や、冷温器(レイオンキ)と呼ばれる、氷や冷水を入れて冷す道具を使って、もろみの温度調節をしていきます。
出来たもろみを蒸留器に入れて沸騰させ、気化したアルコールを冷却槽へ通すことで再び冷やして製品タンクに抽出していきます。伝統的には、木桶でもろみを加熱していましたが、近年では熱伝導率が良いステンレス製のものも多く使われています。木桶の蒸留器は緩やかな熱の伝わり方なので、より柔らかな味わいになるのが特徴です。
出来たての焼酎は、味わいが不安定でアルコールの刺激臭が残っているため、熟成することで味を丸くしていきます。貯蔵する容器はかめ、樽、タンクの3種類があります。陶器製のかめは、表面にざらつきがあり、まろやかさを増します。樽貯蔵では、樽香(たるこう)と呼ばれる木の甘い香りがつきます。他の容器より強い香りづけが出来ます。ホーローやステンレス製のタンクで貯蔵する場合、風味がつくことはありません。普段、食品をホーローなどの容器で保存しても容器の風味がつくことはありませんよね。そのため、本来の味が楽しめます。
麹を造るとき、もろみを造るとき、熟成するとき、焼酎造りの要所でクラシック音楽を聞かせていることがあります。音楽の発する振動で、麹やもろみを造るときには発酵が促進します。貯蔵段階では、熟成の効果を向上させる働きがあるようです。偶然音楽を流していたことから生まれた技術ですが、様々な楽器を使っているクラシック音楽は、音域が広く、多様な音色を含んでいるため、発される振動が焼酎造りに影響力を持っていました。音楽を聞かせながら大事に育てられた焼酎を是非、味わってみてください。
・ 焼酎は主に、麹造り・もろみ造り・蒸留・熟成の4工程で造られている
・ 麹は、ブンジやカキイタでかき混ぜながらならされる
・ もろみはダルキルやレイオンキで温度調節する
・ 蒸留器の素材でもまろやかさが変わる
・ 熟成する容器で、仕上がりが変わる
・ クラシック音楽の振動が、発酵や熟成を促進する
ブンジなどの古くから使われているものから、タンクや音楽といった新たな技術や工夫まで、知恵が詰まった道具に支えられて現在の焼酎造りがあるとわかりました。ストーリーを知って焼酎がますます味わい深くなったら嬉しいです!