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2019/01/21
鹿児島県出身初のプロコントラバス奏者で、日本でも数少ないこの楽器のソリストとしても活躍する森田良平さん。コントラバスへのこだわり、ふるさと鹿児島へのこだわり、ライブ演奏へのこだわりなどをうかがった。「田苑さんの音楽仕込みも同じですよね」と言う森田さん。その理由は・・・? お楽しみに!
5歳からクラシックピアノを習っていましたが、実際に音楽に興味を持つきっかけは小学生の頃に聴いたビートルズ。それから洋楽、ロック、ギターに夢中になりました。高校では吹奏楽部に入りましたが、ギターはありませんよね。それで、同じ弦楽器のコントラバスを始めました。ギターと同じ弦楽器だから、、、そのくらいの動機でした。
ギターが弾けたので、コントラバスも簡単に弾けると思っていましたが、いざ弾いてみたら、ちゃんとした音が出なくて。それが逆に私の気持ちに火を付けたんでしょうね。鹿児島にはプロの演奏家がいなかったので、アマ奏者の方に習ったり、高校三年生の音大受験前からは福岡にレッスンに通いました。
ちゃんとした音が出るようになると、今度はどんどんその音色に引き込まれました。コントラバス単体の音って、なかなか耳にする機会がありませんよね。でも、木訥とした低音のあたたかさがあるんです。バイオリンやチェロのようにスタイリッシュな音ではありませんが、不器用な中にあたたかさがある音です。
オーケストラではいちばん低い音でアンサンブルを支えるのが、コントラバスの役割。いわば、裏方みたいなものです。でも、実はそれだけじゃないよ、単体だとこんなに素敵な音色なんだよ、ということを伝えたい。そう思い、ソロのコンサートを全国各地で公演するようになりました。
鹿児島出身なので、鹿児島を音楽で紹介することが私のライフワーク。鹿児島にゆかりのある作曲家に鹿児島をモチーフにした曲を書いてもらい、全国各地で演奏しています。
先日行われた田苑酒造さんのコンサートでは、薩摩川内市をテーマにした曲を作曲いただき、川内に伝わる河童に似た妖怪「がらっぱ」をモチーフにした曲や、「川内川」をモチーフにした曲を初演しました。
他にも鹿児島の曲をたくさん書いていただいています。こうして鹿児島で生まれた曲を、私が全国で演奏して、広めていきたい。コントラバスの音色を伝えるとともに、
鹿児島県は、北は出水市から南は与論島まで約600キロあり、離島もたくさんあります。そのすみずみまで行って、演奏しています。やはり、生演奏、ライブでやることに意味があるんです。CDやTVじゃ伝わらない、生だから感じてもらえるものがあるんです。
ライブは楽器とお客さんの距離が近いですよね。すると、音の振動がダイレクトに伝わります。音は耳で聴くもの、というのも間違いではありませんが、音の振動を身体で感じることができます。それが感動につながるんだと思っています。
田苑さんの音楽仕込みも同じですよね。貯蔵している焼酎に、音楽を直接聴かせているんですよね(※)。その刺激が焼酎をおいしくして、飲んだ人が感動する。大事なのは、いい音楽の、ダイレクト感。ね、同じでしょう。ふるさと鹿児島にこだわっているのも、私と同じなんじゃないですか。
※(取材者注釈)音楽を振動に変換する特殊なスピーカーを貯蔵樽に設置。音楽の刺激によって醪の発酵を促し、熟成効果を向上させている。
いま、継続して行っているのは、子供たちに本物の音楽に触れてもらう機会をたくさん作る事です。中でも力を入れているのは産婦人科での「母と子のスマイルコンサート」。その日、生まれたばかりの子どもにも生でコントラバスの演奏を聴いてもらっています。聴いてもらうというより、身体で感じてもらう、という感覚でしょうか。低くて大きな音だから、子どもが泣き出すんじゃないかと思いますよね。もちろん、それがまったくないとは言えませんが、あんがい心地よさそうに聴いてくれるんですよ。小さな子が音に合わせて身体を動かしてくれたりもします。そんな反応を見ると、私もうれしくなります。
このコンサート、私の生演奏をベビーベッドで初めて聴いていた赤ちゃんが、よちよち歩きできるようになって、また聴きに来てくれたりするんですよ。これを続けていれば、その子がお母さんになったとき、自分の子どもと一緒に聴きに来てくれるかな、なんて。そう思うと素敵ですよね。生演奏にはそんな場面を作る力があるんです。そんな時を超えてつながる音楽の可能性を、私は信じています。これも田苑さんと同じかもしれませんね。
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