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2021/06/04
肉や酒など、昨今グルメ界では何かと「熟成」がブーム。そんななか、鮨業界で熟成と燻製を掛け合わせた新たな熟成ジャンルを発見! 燻製×熟成の魚とは、一体どんな技法を使い、どんな味わいなのでしょうか? 「燻熟成鮨」を提供する「鮨職人秦野よしき」の店主・秦野芳樹さんにお話を伺いました。
▲店主の秦野さん。若干28歳で独立し、5年ほど前から燻熟成の鮨を提供している
鮨の良し悪しはネタの鮮度で決まる印象がありますが、あえてそれを熟成させようと思った理由とは?
「ここ最近の熟成ブームの影響で魚を熟成させて食べることが新たな手法だと思われている方も多いようですが、鮨ネタはそもそも熟成させて食べるのがルーツなんです。鮪のヅケなんてまさにそれ。江戸時代の頃は冷蔵庫がありませんから、鮮度を保つために醤油に漬け込んで保存して提供していたわけです。魚を熟成させることは、鮨屋では特別珍しいことではありません。“あえて”という意味では、そこに燻製(スモーク)を合わせたことですね」(秦野さん)
熟成×燻製の発想は、どうやって生まれたのですか?
「ヒントになったのは、土佐などで食されている鰹の藁焼き。藁焼きは魚を藁で燻製して香りづけしますが、燻製も保存方法の一種。そこで、魚を熟成させた状態で燻製と合わせたらもっと旨みが増して長持ちもして、おいしいお鮨ができるんじゃないかと思って研究を重ねました」(同)
▲約2週間熟成させた鰹。匂いや味を毎日確認しながらベストな状態を見極める
どんな技法で魚を燻熟成させるのでしょうか?
「まず、魚をそのまま3日程度冷蔵庫で寝かせてから燻製にします。その後、柵分けした魚を塩漬けにして、ラップでくるんで密閉した容器に入れて氷に当てながら冷蔵庫で寝かせます。このときに重要なのが温度管理。庫内の温度が低すぎると魚が凍って身がだらけてしまうし、温度が高くなると傷んでしまいます。そのため、冷蔵庫で氷を当てて-9℃くらいの温度をキープしながら微氷結の状態で熟成させていきます」(同)
トータルで何日間寝かせるのですか?
「燻熟成には、何日以上寝かさないといけないというルールはありません。3日なら3日のおいしさがあるし、2週間寝かせればより深い味わいになります。もうそれは食べる人の好みですね。魚の種類によっても異なり、今日握った鰹は2週間熟成させたものですし、鮪なら1カ月くらい熟成させることも。燻製させているため傷みにくく、熟成期間を調整できるのも燻熟成ならでは。同じネタでも3日、1週間、2週間と熟成期間で味が変化していくので、その食べ比べを楽しめるのも魅力です」(同)
▲燻熟成鮨は、メジマグロ、サワラ、鮭など時季に合わせて常時4~5種類を用意。赤酢のシャリとの相性も抜群だ
新鮮なネタを使った鮨と、燻熟成鮨とでは味にどんな違いがありますか?
「熟成させることで、旨み成分と言われるグルタミン酸やイノシン酸が増えてネタの旨みが濃くなります。また、燻製したあと塩でコーティングするので、余計な水分が抜けて旨みだけが残るんです。角がとれた丸みのあるまろやかな旨みにほんのり薫香が香り、捌きたての魚にはない独特のおいしさが生まれます。さらに、熟成した魚ならではの滑らかな歯触り、舌触りも楽しめます。熟成させると臭くて食べられない魚もありますが、スモークによって軽く火が入り、通常熟成に不向きな鯛なども熟成した状態でいただけるようになります」(同)
ちなみに、燻熟成鮨に合わせるならどんなお酒がおすすめですか?
「焼酎やウイスキーとの相性が抜群です。焼酎なら芋か麦で、香りの強いものが良いですね。ただ、ロックだと鮨の味を消してしまうので、水割りやソーダ割りでいただくのがおすすめです」(同)
日本に古くから伝わる食文化を掛け合わせて生まれた、「燻熟成」というジャンル。ありそうでなかったこの味わいを、ぜひ一度その舌で確かめてみてはいかがでしょうか?
<取材協力店舗>
『鮨職人秦野よしき』
東京都港区六本木5-11-25 3F
03-3475-4004
営業時間:月~金18:00~24:00、土18:00~23:00(日曜定休)
http://sushi-syoku.com/
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