【連載】小野員裕の田苑酒場巡礼 高田馬場「あけぼし」
2020/08/10
焼酎に種類があるのは知っている人も多いですよね。では「本格」と付く焼酎があるのはご存じですか?本格焼酎は他と何が違うのか、どう選べば良いのか、ポイントをご紹介します。これから焼酎を飲み始めたい方必見です!
焼酎瓶のラベルに「本格焼酎」と書いてあるのを見たことはありますか?この表示、実は焼酎の中でもある条件を満たしていないと記載できないんです。まずは、そもそも焼酎がどんな種類のお酒なのかを見ていきましょう。
焼酎というのはブランデーやウイスキーと同じ、蒸留酒です。蒸留とは、麦や米などの原料となる素材を発酵させて醸造酒を作った後、お酒を熱して気体にし、再び冷却して液体に戻すことです。
なぜそんな事をするかというと、一度気体にすることで水や不純物が除かれてよりお酒の成分を凝縮させることができるからです。だから焼酎やウイスキーといった蒸留酒はアルコール度数も高いんです。
焼酎は「蒸留の方法」と「使われる原料」「アルコール度数」の3つの条件によって種類が決まります。本格焼酎は酒税法の「乙類」に分類される焼酎で、乙類の他には「甲類」と「混和焼酎」があります。
本格焼酎(=乙類)の条件は、麹(こうじ)を原料に含み、単式蒸留機で蒸留されたアルコール分45度以下の焼酎を言います。単式蒸留機は単純な蒸留方法なので原料の風味が残りやすいのが特徴です。
一方甲類は、連続式蒸留機で蒸留されたアルコール分36度未満の焼酎。連続式蒸留機では純度の高いアルコールが精製されるため、水で希釈して度数を調整します。何度も蒸留を繰り返すため原料の香りが残りづらい製法です。 混和焼酎は蒸留とは関係なく、甲乙をブレンドしたものを指します。
本格焼酎がどんなものか理解したら、肝心の味が気になりますよね。お酒の違いがイマイチよくわからない…という人も本格焼酎の味わいはわかりやすいと思います。
というのも、本格焼酎には芋、麦、米などさまざまな種類があるからです。それぞれに味の特徴があり、芋はさつまいもの芳醇な風味、麦はクセのないクリアな味、米は日本酒のようなフルーティな香りがします。
この他にも黒糖やそば、栗など、焼酎として認められている原材料の種類はなんと50種類以上。ワインや日本酒と異なり、本格焼酎はもともとの原材料が多様なので、味の違いも楽しみやすいお酒と言えますね。
ところで、沖縄のお酒として有名な「泡盛」も焼酎の一種なんです。タイ米と沖縄産の黒麹を原材料とした本格焼酎のことを泡盛と呼び、強めの甘い香りがします。寝かせておけばおくほど深い香りに変化するため、古酒として楽しむ飲み方もあります。
本格焼酎を飲んでみたい!と思った時に注意したいのが、混和焼酎との見分け方です。混和焼酎は甲類の焼酎に本格焼酎を足して風味を出している焼酎で、「米焼酎」、「芋焼酎」などブレンドした本格焼酎の原材料を「冠表示」として表記することが認められています。
この冠表示だけを見て本格焼酎と間違えてしまうケースがよくあるので、本格焼酎を飲みたい時には必ず「本格焼酎」とラベルに書いてあるかどうかをチェックしましょう。
さて、それではお気に入りの本格焼酎を選んでみましょう。本格焼酎は酒屋さんやスーパーで手軽に買うことができる他に、蔵元で直接買える場合や、ネット販売を行っている場合があります。
基本的に味見はできないので、ラベルを見て、原材料や説明書きから判断することになります。居酒屋によく行く人は飲んだ銘柄を覚えておいて好みの原料や産地を知るのも選び方のコツです。
じっくり味わって検討したいというこだわり派には、蔵元などで試飲させてもらって購入するのもおすすめ。田苑酒造でも「焼酎資料館」にて試飲と特別販売を行っているので、焼酎造りの歴史を知りながら焼酎を選ぶことができますよ。
焼酎と一口に言っても製法も味もさまざま。本格焼酎を知って、味わって飲んでみたら焼酎のおいしさが分かってきたという人も多いです。ぜひ本格の違いを感じてみてください。
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